コラム

「予防歯科」って何?その目的やメリット【お口の予防ケア】

歯医者は歯が痛くなってから行く場所とイメージされるのはもう昔の話。今では「予防歯科」に力を入れようと、日本でも大きく歯科治療のあり方が変わってきています。しかし、まだまだ予防歯科について知らない方も多いのではないでしょうか?今回は予防歯科の目的や実際に何をするのかについて詳しくお話ししていきます。

予防歯科って何?目的は?

予防歯科とは、歯を失う2大原因のトップでもある歯周病や虫歯にならないよう、歯科医師や歯科衛生士が行う「検査」や「ケア」そして「指導」のことを指します。
欧米などの歯科先進国に比べ、残念ながら日本は予防歯科の後進国です。80歳で20本の歯が残っていることが理想とされていますが、歯科先進国のスウェーデンはほとんどの人が達成しているにもかかわらず、日本の達成率は50%程です。(平成28年歯科疾患実態調査:厚生労働省

日本では80代の半分の方が多くの歯を失ってしまい、食事や会話に不便をしているということです。世界屈指の長寿国である日本ですが、長生きができても歯を失っては食事がままならなくなり、健康的な生活が送れなくなってしまいます。

そこで、近年日本でも歯が悪くなってから歯医者にいくのではなく、悪くならないように歯科医院でケアを受けながら一緒に健康な歯をキープする「予防歯科」という考えが重要視されるようになってきました。

痛みが出たら歯医者で治療してもらうを繰り返していては、いずれご自身の大事な天然歯が失われていきます。歯は一度失ってしまったら、2度と元の状態に戻ることはありません。日頃から予防の意識を持ち、定期的に歯科医院へ通うことでいつまでも健康な歯をキープすることができます。

予防歯科で行う内容

予防歯科では、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士による「プロフェッショナルケア」と、患者さん自身で行う「セルフケア」の2つの方法を併用してお口のトラブルを予防していきます。

■プロフェッショナルケア

プロフェッショナルケアは定期的に歯科医院へ通い、歯科医師や歯科衛生士などのプロにより行われるケアです。プロフェッショナルケアの内容としては「検査」「クリーニング」「指導」そして「フッ素塗布」です。

歯科衛生士と患者

・検査

検査では、主に「歯周病の検査」と「虫歯のチェック」を行います。虫歯のチェックは歯科医師が実際にお口の中とレントゲン写真を確認しながら行います。

歯周病の検査はプローブと呼ばれる器具を使い、歯と歯茎の境目にある歯周ポケットの深さを測っていきます。特に歯周病は症状がでにくく、気づいた時には進行している怖い病気ですので検診の際には大事な検査項目になります。

・クリーニング

クリーニングの一般的な流れは、超音波や手動の器具で歯石をとる「スケーリング」を行い、その後に歯の表面をピカピカに磨く「PMTC(Profetional Mechanical Tooth Cleaning)」を行います。

歯科医院によっては、患者さんが実際にお口の汚れがどこについているのか把握してもらうために、最初に染め出しをしてからクリーニングをすることがあります。

ご自身の歯磨きだけでは落とすことのできないプラーク(歯垢)や歯石を除去してもらうことで、虫歯や歯周病を予防していきます。

・指導

必要な場合は、患者さんに対してブラッシング指導や食事指導を行います。ブラッシング指導の内容は患者さんによって異なりますが、歯ブラシの当て方や歯ブラシ以外の清掃補助具(フロス・歯間ブラシ)などの使い方を指導して、効果的な歯磨きができるようになってもらいます。

正しい歯磨きの仕方を教えてもらう絶好の機会ですので、ご自身が使っている歯ブラシを持ってきても良いですし、聞きたいことがあればなんでも相談しましょう。

また、間食の仕方や食事と歯磨きのタイミングなど食事に関するアドバイスをすることもあります。食事は虫歯と密接な関係にありますので、虫歯リスクが高い方は歯磨きの他に、食生活も見直す必要があります。

・フッ素塗布

フッ素は虫歯予防に高い効果があり、世界中で使われている安全な薬剤です。クリーニングの仕上げとしてフッ素塗布を行うことで、積極的に虫歯を予防していきます。特に虫歯のリスクが高い方には定期的なフッ素塗布をおすすめしています。

■セルフケア

予防歯科は歯科医院で行うケアだけではありません。ご自身で行う歯磨きも立派な予防歯科です。しかし、正しい歯磨きの仕方を知っている人や効果的にプラークを落とせている人は実はとても少ないのです。

歯を磨く女性

そこで歯科医院ではセルフケアを効果的に行ってもらえるよう、患者さんに合った歯磨きの仕方をお伝えします。歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシを使ったケアも大切ですので、一度歯科医院でブラッシング指導を受けてみてください。

予防歯科のメリット

予防歯科には健康な歯を守るだけでなく、他のメリットもたくさんあるのでご紹介していきます。

■全身の健康に繋がる

お口の中にプラーク(歯垢)が残ったままだと、プラークの中に潜んでいる細菌が出すタンパク分解酵素により、ウイルス感染を促進してしまうことが研究でわかっています。(参考:日本歯科医学学会連合

また、高齢者に多い「誤嚥性肺炎」はお口の中に残った細菌が肺に入ってしまうことで起きる病気で、時には命を落としてしまう怖い病気です。また、糖尿病も歯周病と密接な関係があるなど、予防歯科でお口の中を健康を守ることは全身の健康にも繋がっていきます。

■爽やかで清潔感のある口元に

虫歯や歯周病のリスクが高い人はお口の中に細菌や着色、汚れなどが残ったままになっている状態の方が多いです。そのため、口臭や歯の黄ばみが起こりやすく、他人に不快感を与えてしまう原因にもなります。予防歯科に力を入れることによって口臭の予防や清潔感のある口元をキープすることができます。

■痛い治療を受けなくて済む

歯医者での治療は、痛みや不快感があり歯科恐怖症で歯医者にいけない!という方も少なくありません。誰でも痛い治療は避けたいものですよね。予防歯科で日頃からお口の健康をキープすることで、痛い治療をしなくて良いという大きなメリットがあります。

まとめ

虫歯や歯周病になってから治療をするのではなく、未然に防ぐことを目的として行なわれるケアが「予防歯科」です。予防歯科では定期的に歯科医院へ通っていただき、歯科医院で受けるプロケアとご自身での歯磨きによるセルフケアでお口の健康を守っていきます。健康な歯をキープすることは、ご自身の健康に繋がります、何も症状が出ていなくてもまず歯科医院で定期検診を受けてみてください。

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